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著者 飄助
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朝からお仕事に手が付かない。 職場のみんなの言葉は、頭の上をかすめて行く だけで、一向に脳味噌まで到達しない。 40過ぎたおっさんが、ましてや重要
ポストにある管理職が(^^;;)
が、しかしじゃ。 |
午後2時、飛び出すように職場を出る。 走り去る飄助の背に 「おみやげは、い くらでいいよ」 「僕は、毛蟹ね」 「贅沢は言わないから、サッポロラーメン ね」 「私は、白い恋人よ」 と声が掛かる。 そんなの買っとるヒマなんかねぇ〜よ 大沼の湖岸にず〜とず〜と張り付く んじゃ〜 |
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名古屋空港には、出発1時間前に着いた。 搭乗手続きを済ませ荷物を預ける と、ホッと肩の力が抜けた。 急に、かぁちゃんに電話をしたくなって、 「頑張 ってくるぞ」 と告げると、 「大きいの釣ってきてぇや」 と激励してくれた。 お小遣いはくれるは、励ましてくれるはで ええかぁちゃんをめっけたもん や。
メイストームのお陰で、飛行機の出発は40分以上遅れた。 |
雲ばかりの景色を見ている内に、少しウトウトした。 目が覚めると、飛行機は 津軽海峡を飛んでいた薄くなった雲間より、点々と波の白い模様をつけたどす 黒い海が見える。
いよいよ、森羅万象さんとご対面だ。 はたしてどんな人だろう。 初対面の楽し みは、パソ通ならではのものだ。 |
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森羅万象さんは、想像以上にいい顔立ちの紳士だった。 身長も高い。 へらにうつつを抜かす釣り人の姿とは思えなかった。 口べたで、人見 知りをするウブな飄助だが、抵抗無くうち解けることができ、函館の名所を楽 しく回ることが出来た。 森羅万象さんのシャレた白い家に着くと、さっそくお風呂に入らせてもらっ た。 |
湯船に浸かっていると、mesを交わす間柄とはいえ、こんな図々しいことをし
てていいのかと思えてきた。 俊作さんならいざしらず、常識人の飄助は恐縮 の固まりとなってしまった。 「あまり恐縮されると、かえってこっちの方が気を使うから、気軽にしてくだ さい。」 という森羅万象さんの言葉に助けられ、風呂上がりの後の夕食を楽し んだ。 夕食には、森羅万象さんお手製の函館グルメ料理が並んだ。 特に、子持ち槍 イカの煮付けは絶品で、ボキャブラリ−の少ない飄助には、表現できないうま さだった。 |
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今回参加したくても出来なかった、 金欠病や仕事に金縛りにあった可哀想な波 紋メンバーの分まで、 函館の珍味を食べ極楽を味わい、 語り合っているうち に夜はドップリと更けていった。 |
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成り行きとは言え、ブルジョア ブルートレインで函館入りする俊作さん
を迎えるべく、3時半起きで森羅万象さんと函館駅へと向かう。 函館は、岐阜に比べるとほぼ1時間くらい早く太陽が昇る。 これって、みなさん知ってました? あちきは、改めて日本の位置を 頭に描いて納得しました。 さてさて、午前4時25分? 浮子作りビデオ監督・主演の俊作さんが 長靴を履いて駅の階段を降りてきた。 想像していたより体格がガッチリし いかにも「さすらいのダム師」という風貌であった。 |
体中から、滲み出て
くるガッツに少し気圧されぎみとなりながら、力強い握手を交わした。 「さぁ、どこに入ります?」 森羅万象さんの質問に、間髪を入れず 「貯木湾に行きましょう」 と俊作さんが答える。 その返答のタイミングに、屈辱により屈折した大沼への執念を見た。 あの駅で感じたガッツは、あのまさに徹底したやり場のない去年の屈辱 から発していたものだったのだ。 |
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ポイントには、もちろん異存はない。 白樺やナラの灌木帯の中に付けられた、真っ黒い土の未舗装路をちょい と進むと、林道は行き止まりとなった。 マーちゃん(真鮒)やウーちゃんの猛攻を考え、多めに持ってきた餌が ずっしりと肩に食い込み、貯木湾の湖畔に降り立ったときには、自分の年 齢と不摂生な日常を思い知った。
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はやる気持ちで、もどかしく道具をセットする。 第1投は6時半? 深緑の水色、点在する島と入り組んだ湖岸、このワン ドに巨べらがいないはずがない。
ましてや、空気の中に微かに魚の臭いさえ感じる。 そんな気配のまま、1時間が過ぎ、2時間が過ぎた。 そろそろ、さわりが出てきてもいい頃だ。 しかし、浮子は動かない。 「三方湖では、10時頃から良くなるんですよね〜」 |
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「野釣りは、これくらいでなきゃ〜」 「そろそろですよ」 と言いながら、餌を打ち続ける。 午後0時? 場所を移動することとなった。 早起きやまさんの電話の話が脳裏をかすめた。 「俊作さんのポイント移動にはまらず、じっと粘るほうがいいよ」 確かにとも思ったが、他のポイント見たさも手伝って、ポイント移動を行った。 |
数カ所のポイントを見て大沼不調を聞き、少し気落ち気味に池田園の偵察に
出掛けた。 大沼の林はとても明るく、気分を清々しくしてくれる。 厚く積もった枯葉の道 、適当に茂った葉っぱの網の目をくぐり抜けてくる、 春のひかり ここには、自然のきびしい表情はない。 し〜んと静まりかえった林間に、せわしなく穴掘りを続けるキツツキの「こんこんこん 」という音が響き、のどかな時間が過ぎていった。 どこも不調ということで、一番好調なような「貯木湾」に再びとって返した。 |
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実に、この山を越えるのはこれが今日3回目だ、足のかかとには、豆も出現し
、太股の筋肉はつり気味となった。 「明日、歩けんかったらどうしょう」 午後6時頃、静かに上品に納竿となり大沼の1日は終わった。 函館の森羅万象邸では、大変な疲れにも関わらず、森羅万象さんは料理の腕を 振るわれた。 ただただ頭が下がった。
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前日にも増して、函館珍味をたらふく食べ、大沼の話、へら釣りの話、浮子の話
に夢中となった。
本州では、ちょっと食べられまへんで〜 ええやろ〜(^_^) |
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朝3時起床 前日の睡眠時間が、4時間。 今日は、3時間で起床 眠い。
でも、あの貯木湾の島が、 尺半上が待っている。 仕事で釣行できなくなった森羅万象さんに大沼まで、送ってもらう。 ありがとうございます。
今日も大沼は、静かに私達を迎えてくれた。 |
いよいよ島へ上陸だ。 ポイントを前にして、俊作さんは大きじを 打ち、私は小きじを打った。 道具を組みながら、今日の一日を思った。 ここで結果を出さないと、あちきのこれからの1年は、俊作さんの二 の舞となり、何を言われるかわかったもんじゃない。 そんなプレッシャーから、浮きを見つめるのにも、普段の何倍も力が入る。 餌打ちをしばらくした後、缶コーヒーを飲んで力を抜いた。 少し周りを見渡 す余裕が出てきて、ふと俊作さんを見た。 |
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俊作さんの顔は、笑っていなかった。そういえば、釣りを開始してから一言も
話していない。 あの、軽妙な語りで名を馳せている人物とは思えない。 心持ち引きつった頬から、「今日こそ」「今日こそ」と痛いような気が飛び出 している。 餌打ちから1時間余り経った午前7時、バラケのスピードが変化した。 浮きが ス〜と上がり、途中で止まった。 そしてモゾモゾ。 餌を切り、大きめのグルテンを付けて打ち返した。なじみ際でサワ リがある。 そして、なじみきる寸前、スパッと2節入った。 |
「ギュン」 力の入った合わせで、竿が鳴った。 軟調な征興 秀弦15尺は、最初の一のしに強い。 今まで、何匹もの大鯉に 耐えてきた自信の竿だ。 沖目へ向かおうとするへらの強引に耐え、竿が立った。 ここまでくれば、へらを取り込める確率は高い。 しかし、よく引く。 なかなか 魚体が見えない。 右へ左へと走ったへらが、少しづつ抵抗を弱めて浮いてくる。 「でけ〜よ \(^O^)/」 俊作さんに叫ぶ 「ありゃ〜、シッポが痛い痛いや〜」 (;_;) |
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ガックリ まっ、しかし検寸だけはしておくか。 俊作良品 検寸台にのっけると、なんと尺半上。 へら人生で初めて釣った尺半 上がスレ (;_;) くやぴ〜 今日の地合は、ほぼ1時間おきにやってくるようで、8時頃になると またまた サワリが出始める。 が、決め手が出ない。 グルテンに手水を多めに付け、ドボドボ気味の大餌を、そっと送り込む。 餌落ち目盛り位までなじみ、一瞬トメが入り、「スパッ」と2節入った。 |
くう〜 口から声がもれる。
最初のひとのしを、なんとかこらえ、竿を立て始める。 口を割ったへらは、そんなに大きく見えない。 「どうか、40上でありますように」 検寸台にのせたへらは、44.0cmちょうど その頃になって、震えがきだした。 自己記録更新だ。 俊作さんは、マ−ちゃんにいじめられている。 もやもやの後ツンときれいに入 る当たりは、どうやらマーちゃんのものらしい。 |
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「オラは、いつもこんなんや〜 どうせ、どうせオラなんか〜」(T_T) 俊作さんの、ボヤキが何度かはいったあとの、午前10時。 俊作さんの、竿が「ビシッ」と鳴った。 水面に突き刺さりそうな穂先から、 どうやら大型らしい。 水面下で横腹が、キラッと光った。 「へらや〜」\(^O^)/ 検寸の結果、41.3cm。とりあえず、40上を二人とも手中に収めることが出来 た。 |
本当に良かった。 とにかく、40上の結果を出せ、2人は余裕が出てきた。 話し声も弾む。 明るい林に囲まれた水辺に、こうして竿が出せる贅沢と明日もここで竿が出せ る幸せを、二人で話した。 その後、腹パンで型のいいへらチャンを、俊作さんが上げる。 検寸42.8cm 俊作さんの自己記録だそうだ。 すこ〜しづつ地合の間隔が大きくなり、午後からは間遠いものとなり、午後3時 頃からは、ウ−くんとマ−くんばかりになってきてしまう。 |
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ここ大沼のウ−くんは、へ−くんに教えてもらったのか、食事作法がへ−くんそ
っくりで、もぞもぞの中に黒帯1本くらいの当たりで釣れてくる。 今日は、一時も気を緩められないハードな一日となってきた。 夕暮れとなって風が治まり、濃密な空気がゆっくり流れ出した。 これまでに、37cm,36cm,35cm,30cmと大型をあげられなか った。 1.2号のハリスを、ひとのしでぶちぎっていく魚、玉網まで寄せたでっかいへ らをハリがのびて、ばらしたりと、大沼はなかなか尺半のプレゼントをしてくれ ない。 |
道具を片づけ終わると、湖面は薄暗くなってきた。 もじりが岸辺に迫って来る。 その数も多い。
「来年は、ナイターもするど〜」 二人は、既に来年の大沼釣行を考えていた。 帰りの車で、森羅万象さんが 「ほんとに、釣れてよかった。」 と胸を撫で下ろされた。 感謝 感謝 |
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森羅万象さんに連れていってもらった「すすきの」という料理屋で、函館の海鮮
をたらふく味わった。 宗八ガレイってしってます? 本州にはいない、焼き魚にとても良くマッチす るカレイだそうですが、引き締まった身のそれはそれはうまいこと \(^O^)/ |
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今日は、大沼最終日 森羅万象さんも加わって3人で貯木湾に向かう。 めざす島には、何日間も大沼に詰めている室蘭ナンバーの釣り師に入られて いた。
もじりも昨日に比べて少ない。
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結局、俊作さんの隣に釣り座を構えた。 森羅万象さんも、声が届く範囲の対岸 で釣っている。 昨日、一応結果も出せたので、今日はとても気楽だ。釣り始める前に、ゆっく りと大沼を眺めながら、大きじを打った。 厚い枯葉の絨毯でバランスを崩しそ うになりながらも、明るい林をわたっていく鳥の声や、湖岸に打ち寄せる波の 音を聞きながらの、とても贅沢な大きじだった。 釣りの方は、う〜くんにも、ま〜くんにも見放され、一向に竿は曲がらない。 |
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きのうの、「すすきの」で残ったうま〜い料理をほうばったり、 缶コーヒーを 飲んだり、のんびりタバコを吸って景色を眺めたり、 遠くの女性釣り師をスコー プで覗いたりとなんとものどかな釣りとなってきた。 「まっ、いいか」 こんな自然の中で3日間も釣りを出来たんだから、 そう思えてきた。 その後、俊作さんが気になっているというポイントに釣り場を変え、森羅万象 さんと並んで竿を出した。 |
あまり釣り人が入っていないような場所だったが、湾内を見回してみて、悪い
場所ではないように思える。 名ポイント大岩よりも、いいポイントに思えるのだが当たりは無い。 時々、え〜 くん(えび)らしき、もやもやがあるのみだ。 「ビシッ」 森羅万象さんの竿が鳴った。 13尺の穂先がググゥ−と水面に引き込まれる。 |
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とうとう森羅さんに来た。 魚は、あっちゃこっちゃ走り回り、なかなか浮い てこない。 なんとか浮いてきたとき、白くて長い胴体がキラッと光った。 でけぇ〜 う〜くんだ。 森羅さんから緊張が解けると、魚も直ぐに水面か ら浮いた。
「アハハハ でっかいう〜くんですね」(^_^) 「一荷や ハハハ」(^_^) |
「あれ〜、これってイワナやんか〜」 (゚゚;) へら釣りでイ〜くんがつれるなんて、さすが大沼。 それも40上の大魚
以前、渓流釣りをやっていたとき イ−くんを手に、にっこり笑って記念撮影 森羅万象さんが、無垢な少年の ように見えた。 貯木湾を後にしながら、山を下った。 NAOさんが、ここに通い詰める気持ち が、よくわかった。 |
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人工物が何もなく、自動車なんかの音もない。 湾内に点在 する島、深い緑の湖面、巨べらが今にも出てきそうな釣り師の桃源郷だ。 空港で、森羅万象さん、俊作さんといろんな話をした。 体はへとへとなのに 心だけが躍っている。 もう一度、貯木湾で手がしびれるほど竿を振ってみたい。 来年も、ここにこれる幸せを かぁちゃんください お願い おわり |
PS:森羅万象さん、本当にありがとうございました。 お仕事などで、こちらにこられるときは是非、ご連絡ください。 そして、いっしょに竿を並べましょう (^_^)
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